コンビニのフランチャイズはやめたほうがいいと言われる5つの理由

2025年6月2日フランチャイズ
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コンビニのフランチャイズはやめたほうがいいと言われる5つの理由

コンビニエンスストアのフランチャイズ経営は、一見すると安定したビジネスモデルに見えます。全国に約5.7万店舗ものコンビニが展開され、私たちの生活に欠かせないインフラとなっています。

しかし、その裏側ではオーナーに過酷な負担がのしかかり、「コンビニのフランチャイズはやめたほうがいい」と警鐘を鳴らす声も少なくありません。実際、政府や公正取引委員会もこうした問題に介入し始めており、フランチャイズ業界の闇が社会問題化しています。

本記事では、コンビニフランチャイズを敬遠すべきとされる主な理由を5つ解説し、あわせて実際の成功例・失敗例や、代わりに検討できるおすすめのフランチャイズ業態についても紹介します。

コンビニのフランチャイズはやめたほうがいいと言われる5つの理由

コンビニフランチャイズには多くのメリットがある一方で、オーナー側が直面する深刻な課題も存在します。以下では、コンビニ経営はやめておいたほうがいいと指摘される代表的な5つの理由について、その根拠と具体的な事実を示しながら説明します。

理由1: 24時間営業で休みが取れず、オーナーが過重労働に陥る

コンビニフランチャイズでは長時間労働と休みの無さが深刻な問題です。ほとんどの店舗が年中無休・24時間営業を求められるため、オーナー自身がシフトに入って穴埋めしなければならない場面も多く、十分な休息が取れません。

実際に、セブン-イレブン加盟店の店長だった男性が半年間一日も休みなく連続勤務し、重度のうつ病を発症して自殺、労災認定された事例もあります。過去にはファミリーマート加盟店で1日15時間労働を強いられ8か月で4日しか休めずに過労自殺したケースも報告されており、長年コンビニフランチャイズ店舗の過重労働は社会問題となっています。

このように、オーナーや店長が「過労死寸前」と訴える事態すら起こっており、コンビニ経営は働き方の面で非常に厳しい現実があるのです。

理由2: 慢性的な人手不足と人件費高騰で経営負担が増大する

深刻な労働環境の背景には、慢性的な人手不足の問題があります。経済産業省の調査によれば、2018年度時点でコンビニオーナーの61%が「従業員が不足している」と回答しており、人手不足が半数以上の店舗で日常化しています。

特に深夜・早朝のシフトは応募が集まりにくく、その穴を埋めるためオーナーや家族が長時間労働するケースも少なくありません。

さらに、近年は最低賃金の上昇によってアルバイト人件費も増加し、オーナーの経営コストを圧迫しています。人手不足→従業員の負担増→離職と採用難という悪循環に陥りやすく、一人ひとりの労働負荷と人件費負担が増大しているのが現状です。

その結果、オーナー自身が店に出ずっぱりになりがちで、経営のみならず労務面でもフランチャイズ加盟店の負荷は重くなっています。

理由3: 利益率が低く、ロイヤリティや廃棄ロス負担で儲けが出にくい

コンビニ加盟店オーナーの収益性の低さも大きな懸念材料です。フランチャイズ契約では本部に対し売上総利益の一定割合をロイヤリティとして支払う仕組みになっており、例えばセブン-イレブンのAタイプ契約の場合、売上総利益の43%を本部に納める契約になっています。

その結果、オーナーの手元に残る純利益率はわずか3〜5%程度が相場と言われます。実際、「100円のおにぎりが売れてオーナーに残るのは約10円」とも例えられるほどで、ロイヤリティや仕入原価・人件費を差し引くと利益がごく薄い構造です。

さらに、賞味期限切れ商品の廃棄ロスの負担も加盟店側が負う割合が大きく、本部と加盟店のロス費用分担の見直しが必要だと指摘されています。季節イベント商品のノルマ(例:クリスマスケーキや恵方巻)の残品買取など、実質的に本部に搾取される構造への不満も少なくありません。こうした低い利益率とコスト負担の偏りにより、「思ったほど儲からない」「努力の割に手元にお金が残らない」としてフランチャイズ経営を後悔するオーナーもいるのが実情です。

理由4: 本部に営業時間や運営方針を厳格に縛られ、違約時には高額な違約金リスクもある

コンビニフランチャイズでは経営の自由度が極めて低いことも問題視されています。契約上、本部の定める営業時間(基本は24時間)や年中無休の原則、仕入れる商品や店舗運営方針に至るまで細かくルールで縛られており、オーナーの裁量で柔軟な経営判断を下すことが難しくなっています。

例えば、人手不足から自主的に深夜営業を短縮した大阪府のセブン-イレブン加盟店では、本部から契約違反として約1700万円の違約金を請求され契約解除処分を受ける事態となりました。このケースは大きな波紋を呼び、公正取引委員会も2020年にコンビニ各社へ「一律24時間営業の強制は優越的地位の濫用に当たり得る」と警告を発しています。

また、本部のドミナント戦略によりオーナーのテリトリーが守られない問題も指摘され、これも公取委が独禁法上問題になり得ると注意喚起しました。契約期間中にオーナー側から辞めたくても高額の違約金やペナルティーが壁となり、中途解約が困難なケースも多々あります。本部と加盟店の力関係が圧倒的に本部優位で、一方的な契約条項に縛られる現状は「オーナーは奴隷契約状態」と揶揄されるほどであり、こうしたリスクも踏まえると安易な加盟は危険だと言われるゆえんです。

理由5: 店舗数の過剰な増加で市場が飽和し、競合激化により将来の収益が不安定

日本のコンビニ業界は市場飽和と競争激化の局面にあります。店舗数は年々増え続け、国内で5万店が飽和点と指摘されていたにもかかわらず既に約5.5万店に達しており、都市部を中心に同じチェーン同士で顧客を奪い合う状態が生じています。

実際、コンビニ3強(セブン・ファミマ・ローソン)が寡占する中で2010年代後半も5年間で約5000店増えるドミナント出店が続き、一店舗あたりの売上伸び率は鈍化しました。業界関係者からも「都内では競合過多で、人手が確保できても利益が出ない店舗もある」との声が上がるほどです。

人口減少による国内市場の頭打ちも避けられず、将来的に売上が大きく伸びる余地は限られています。こうした状況下では、オーナーがどんなに努力しても近隣に新店ができれば売上が食い合いになり、収益悪化のリスクを常に抱えることになります。

本部は店舗網拡大によってロイヤリティ収入を増やせますが、加盟店側はその煽りで共倒れの危険に晒されます。市場環境の不安定さから「将来性に不安を感じる」「このまま続けて良いのか悩む」といった声も現場では聞かれ、コンビニフランチャイズ契約に慎重な判断が求められる理由となっています。

コンビニフランチャイズの事例

以上のような理由からコンビニのフランチャイズ経営には厳しい現実がありますが、実際の現場ではどのような成功談・失敗談があるのでしょうか。ここでは代表的な成功事例失敗事例を一つずつ紹介し、コンビニ加盟のリスクとリターンを具体的に見てみます。

成功事例

コンビニフランチャイズでも工夫次第で成功を収めているオーナーも存在します。その一つがローソンで5店舗を経営する稲葉康彦オーナーです。稲葉オーナーは異業種からの参入ながら、本部の手厚いサポート体制を活用して順調に多店舗展開を実現しました。

本人は「本部の強力なバックアップがあるおかげでモチベーション高く経営できている」と語っており、加盟後わずか数年で5店舗を任されるまでに成長しています。ローソンでは現在、オーナーの約47%が複数店舗経営に取り組んでおり、1人で複数店を運営する「マネジメントオーナー」制度による支援も充実しています。

稲葉オーナーの成功の秘訣は、本部との良好な関係構築と従業員教育による店舗運営力の向上にありますt

このように、本部のブランド力とノウハウを最大限に活用しつつ自助努力を惜しまないオーナーは、大きな利益を上げているケースもあります。実際、ローソンは経営安定策として複数店経営を推奨し、低収益店への財政支援やオーナー休暇支援制度まで導入しています。稲葉オーナーの例は、厳しい業界環境下でも本部との二人三脚で成功を掴んだ好例と言えるでしょう。

失敗事例

一方で、コンビニフランチャイズの失敗事例も社会的に大きな注目を集めました。典型的なのが、大阪府東大阪市のセブン-イレブン加盟店オーナー・松本実敏さんのケースです。

松本さんは家族経営で長年24時間営業を続けてきましたが、2018年に妻を亡くし人手が減少したことから心身ともに限界を迎えてしまいました。そこで自主判断で大晦日・元日などの時短営業(休業)を試み、「もう過労死寸前です」と本部に直訴しましたが、セブン-イレブン本部は年中無休の原則を盾にこれを認めず、契約違反として2019年末にフランチャイズ契約解除という厳しい処分を下しました。

さらに、本部は松本さんに対し違約金約1700万円の支払いも求め、松本さんは店舗を失うだけでなく巨額の負債を背負わされる事態となったのです。この騒動は弁護士ドットコムの報道を契機に全国ニュースで大きく取り上げられ、本部対加盟店の力関係の問題を浮き彫りにしました。

最終的に、公正取引委員会が本部の対応を調査する動きにつながり、業界全体で営業時間短縮の容認など改革が進むきっかけともなりました。松本さん自身は契約解除の無効を主張して法的闘争に踏み切りましたが、この事例はフランチャイズ本部と対立すると最悪の場合店舗も生計も失いかねないというリスクを如実に示しています。

コンビニ以外のフランチャイズでおすすめの業態

コンビニ経営にこれだけのリスクがある一方で、フランチャイズには他にも様々な業態があります。ここからはコンビニ以外で比較的経営環境が良好であると注目されるフランチャイズ業種を3つ紹介します。「脱コンビニ」を検討する方が次の一手として選びやすいビジネスとして、ぜひ参考にしてください。

その1 カードショップ(トレーディングカード販売店)

近年急成長している分野としてトレーディングカード(トレカ)ショップがあります。ポケモンカードや遊戯王カードなどのコレクター市場が空前のブームとなっており、国内のカードゲーム・トレカ市場規模は2022年度に2349億円、2024年度には 3000億円規模に達したと報告されています。

これは玩具全体の市場の約27.5%を占める大きな領域で、前年からわずか1年で250億円も市場が拡大する異例の成長ぶりです。

この背景には、大人の愛好家(キッズ+アダルトの「キダルト」層)や訪日外国人需要の高まりがあり、トレカは今や老若男女に支持されるホビーとなっています。カードショップのフランチャイズ展開も増えており、例えばあるトレカショップチェーンでは、「未経験でも月商1,000万円が狙える!」とうたって加盟店募集を行うなど、高収益モデルとして注目されています。

カードショップ経営は小売業の中でも粗利率が高め(シングルカードの転売益など)、かつ24時間営業の必要もなく深夜勤務もありません。また在庫リスクはあるものの、人気カードは資産価値が上昇する傾向もあり、適切に市場動向を読めば利益を上げやすい業態と言えます。実際、トレカ専門チェーン「トレカショップラム」のようにGoogleレビューで星4.9を獲得する人気店も登場しており、従来の暗いイメージを覆すおしゃれな店舗づくりや体験型イベントでファンを増やす成功例も出ています。趣味性が高くリピーター客を掴みやすいカードショップは、コンビニとは異なる明るいビジネスモデルとしてフランチャイズ業界で一目置かれる存在になりつつあります。

その2 コインランドリー(セルフ洗濯・乾燥店)

コインランドリー業は人手要らずで運営しやすいフランチャイズとして人気が高まっています。ここ10年ほどで全国のコインランドリー店舗数は着実に増え続け、現在26,000店以上・市場規模約1000億円規模に達しています。

背景には共働き世帯の増加による「家事の時短ニーズ」の高まりや、高層マンション増加で自宅での大量洗濯・乾燥が難しい事情などがあり、大型洗濯乾燥機で一度に洗濯が片付くコインランドリーの需要が伸びているのです。フランチャイズとしてのコインランドリー経営は、基本的に無人営業(利用者がセルフで機械を操作)できるため人件費がほぼかからず、オーナーが常駐する必要もありません。

機器メンテナンスや集金はありますが、本部のサポートで遠隔監視や故障対応も整備されているケースが多く、働き詰めになりがちなコンビニとは対照的に副業や投資感覚で運営できる点が魅力です。初期投資は機械設備に数百万円単位で必要なものの、立地選定さえ間違えなければ安定した需要が見込めるとされています。

実際、矢野経済研究所の調査によれば国内コインランドリー市場は2022年時点で約1009億円(前年比100.4%)とコロナ禍を経ても成長を続けており、店舗数・売上とも右肩上がりのブルーオーシャンと評されています。コンビニのように24時間スタッフを抱える必要がなく、定休日も自由に設定できる点から、ライフワークバランス重視の独立先としてコインランドリーは有力な選択肢でしょう。

その3 学習塾(個別指導塾など教育サービス)

教育系フランチャイズの代表格である学習塾ビジネスも、コンビニ以外の注目業態です。日本の学習塾業界は少子化の影響がありつつも、一人当たり教育投資の増加や早期教育ニーズの高まりで市場規模は約2.8兆円と非常に大きな産業です。

中でも個別指導塾は高付加価値サービスとして増加傾向にあり、子どもの数が減っても質の高い指導には一定の需要が続くと見込まれています。学習塾フランチャイズの魅力は、営業時間が主に夕方〜夜で深夜勤務がないこと、日曜休みなども設定しやすいこと、そして地域密着で長期の顧客関係を築けることです。大手個別指導塾チェーン「明光義塾」を例にとると、全国に1,700教室以上を展開し上場企業の経営する盤石なブランドで、未経験オーナーにも研修やSV(スーパーバイザー)派遣で手厚く支援する体制が整っています。

加盟金や設備投資はコンビニより低コストの場合も多く、生徒募集や教材開発は本部ノウハウを活用できるため教育業界未経験でも参入しやすい点も利点です。実際、学習塾フランチャイズから独立開業したオーナーの中には元サラリーマンや異業種出身者も多く、例えばガソリンスタンド経営から転身して成功した例も報告されています。

もちろん経営には指導力確保や地域の信頼構築が欠かせませんが、本部と二人三脚で質の高い教育サービスを提供できれば、長期安定的な収益が期待できる業態と言えます。コンビニのような深夜労働や過酷なノルマとは無縁で、社会貢献度も高い学習塾フランチャイズは、“脱コンビニ”後の新たな挑戦先として有力な選択肢の一つでしょう。

まとめ

コンビニのフランチャイズ経営は、身近なビジネスゆえに夢を抱きがちですが、ここまで見てきた通りオーナー側の負担やリスクが非常に大きいことがわかります。長時間労働・人手不足・薄利多売・本部からの締め付け・市場飽和といった課題が重なり、安易に参入すると後悔しかねない現実があります。

実際に、公正取引委員会がコンビニ本部に対し是正を促す事態になったり、過労自殺が労災認定されるケースが出るなど、社会的にも問題視される状況です。一方で、すべてのコンビニオーナーが失敗するわけではなく、本部のサポートと自身の工夫で成功している人がいるのも事実です。

要は極めて厳しい挑戦であることを認識し、契約内容や収支シミュレーションを熟慮した上で、それでも覚悟を持って臨めるかが問われます。

幸い、フランチャイズという枠組み自体には様々な業種があり、コンビニ以外にも比較的低リスクで魅力的なビジネスモデルが存在します。カードショップやコインランドリー、学習塾などはその一例であり、それぞれ成長市場や働きやすさといったメリットがあります。十分な情報収集と準備を行えば、フランチャイズでの独立も成功に近づきます。今回挙げたポイントを参考に、後悔しない道を選択していただければ幸いです。