フランチャイズオーナーは儲からない?やめたほうがいい理由と成功のポイント

フランチャイズオーナーは儲からない?やめたほうがいい理由と成功のポイント
フランチャイズでの独立開業を検討する人は多いものの、「儲からない」「本部に搾取される」といったネガティブな声も聞かれます。しかし実際には、フランチャイズ加盟店の5年後生存率は一般的な起業より高いとも言われ、業種によっては平均年収が数百万円~数千万円に達するケースもあります。
たとえば日本フランチャイズチェーン協会(JFA)によれば、本部が用意するビジネスパッケージを活用できるフランチャイズは、自営開業に比べ成功確率の高いビジネスモデルだとされています。
一方で、中小企業庁がまとめた企業生存率のデータでは起業1年後で95.3%が存続し、5年後には81.7%に減少することが示されています。さらにある調査報告では、フランチャイズ加盟店の2年後廃業率は約14.4%と、個人開業の約7.8%に比べて高いことも指摘されています。つまり「フランチャイズ=必ず儲かる」わけではなく、加盟先の選び方や経営者自身の努力・計画次第で成功も失敗も大きく分かれるのです。
フランチャイズオーナーは儲からない?
結論から言えば、フランチャイズオーナーが必ず儲からないとは言えません。 ただし、以下のような事情から「儲けが出にくい」と感じる人が少なくないのも事実です。業種別の平均年収データを見ても、コンビニや清掃業、学習塾など幅がありますが、大体400~1,000万円程度と広いレンジに収まっています。
加盟店全体の平均年収帯は約400~600万円とも言われますが、これは業種・出店規模、本部サポート、オーナーの経営努力によって大きく変動します。実際、複数店舗展開に成功して年収1,000万円以上を稼ぐオーナーもいれば、経営がうまくいかず会社員時代の収入より下回るケースもあります。すなわちフランチャイズの収益は「儲からない・儲かる」の二択ではなく、自身の準備と経営手腕が鍵だと言えるでしょう。
フランチャイズオーナーはやめたほうがいい理由
フランチャイズには魅力的な面も多い一方で、独立前に知っておきたい注意点もあります。ここでは「フランチャイズオーナーはやめたほうがいい」と言われる主な理由を3つ解説します。
理由1:初期投資やランニングコストが大きい
フランチャイズ加盟には、一般的に高額な初期投資が必要です。日本政策金融公庫の調査によると、起業時にかかる費用は業種や規模によって変動しますが平均で約985万円にもなります。特に飲食業など大型店舗では、店舗の内外装費用や設備機器、人件費など初期費用が膨らみやすく、その分投資回収まで時間を要します。開業後も毎月のロイヤリティ(売上の一定割合)や共益費、本部指定の仕入れなど各種コストが重くのしかかります。開業初期に売上が思うように伸びない場合、これらコスト負担で資金繰りが厳しくなり、利益が圧迫されて「儲からない」と感じる大きな要因となります。
理由2:契約条件・ロイヤリティで利益を圧迫される
多くのフランチャイズ本部との契約では、ロイヤリティや各種手数料の支払いが定められています。契約後にこうした本部への支払い負担が想定以上に重いと、オーナー自身の手取り利益は大きく減少してしまいます。
フランチャイズ契約の中には、本部指定の仕入先の利用義務や広告出稿義務、解約時の違約金などが含まれるケースもあり、厳しい契約条件が後から経営を圧迫することもあります。これら条件を十分理解せずに加盟すると、最終的に純利益が伸び悩み、「やっぱり儲からない」という状況に陥るリスクがあります。
理由3:オーナー自身に高い経営スキルと覚悟が必要
フランチャイズは確立されたビジネスモデルを利用できるメリットがありますが、本質的にはオーナー自身が経営者として舵取りを担う独立事業です。日本フランチャイズチェーン協会も指摘する通り、フランチャイズ加盟後はオーナー自身の経営努力や実行力が不可欠です。
独立の準備が不十分だったり、経営への覚悟が不足していると、想定以上の負担に対応できず失敗につながります。実際、フランチャイズでも事前準備が甘く、売上低迷時の対策や顧客対応が後手に回れば、すぐに行き詰まってしまう例が多く見られます。したがって、フランチャイズ経営では本部のサポートに頼りすぎず、自ら事業計画や資金計画を立て、未知の問題にも対応する覚悟が必要なのです。
失敗しているフランチャイズオーナーの特徴
次に、フランチャイズで失敗しやすいオーナーに共通する特徴を3つ挙げます。
特徴1:本部任せで主体性がない
フランチャイズでは本部からマニュアルや研修が提供されますが、最終的に売上を作るのは加盟店オーナー自身です。そのため、何でも本部に頼ろうとする受け身の姿勢や、自発的な改善努力の欠如は失敗につながります。JFAも「本部が開店まで支援するが、基本的にはオーナー自身が経営にあたらねばならない」と強調しています。
実際、フランチャイズ失敗の原因の大半は「他人任せの姿勢」にあるとも指摘されており、本部のマニュアル通りにこなすだけでは繁盛するほど経営は甘くありません。サポートを過信して自分で動かないと、地域特性に合わせた運営の微調整や顧客ニーズへの対応が遅れ、結果として顧客を逃してしまうでしょう。
特徴2:契約条項やリスクを表面的にしか見ない
契約内容や事業リスクを深く検討しないまま加盟し、問題が起こってから後悔するケースも多いです。実例として、加盟契約の内容を「とりあえず大丈夫だろう」と表面的に捉えてしまい、ロイヤリティの高さや退去条件など重要事項を見落としたオーナーがいます。
契約書は署名した時点で法的拘束力を持つため、内容を軽視せず一語一句すべて目を通し、理解・納得した上で契約すべきだとされています。本部から提示された条件を鵜呑みにしてしまうと、いざトラブル発生時に対応が遅れたり、解約・撤退を余儀なくされる原因になりかねません。
特徴3:準備不足・学習意欲の低さ
フランチャイズ経営に必要な知識や準備を怠るオーナーも失敗しやすいです。例えば、開業前に十分な事業計画や資金計画を立てずに始めてしまい、開業後に資金難に陥るケースや、業種の専門知識を身につけないまま経営に臨んで思わぬ損失を招くケースが挙げられます。成功しているオーナーは資金管理や経営知識をしっかり備え、常に学習を続けている点が共通しています。
一方、これらが不足していると日々の売上・支出の把握が甘くなり、資金ショートを起こしがちです。また市場や顧客の変化に対応する知識がなければ、商品開発やサービス改善が停滞し、顧客離れを招く恐れもあります。
成功しているフランチャイズオーナーの特徴
逆に、フランチャイズ経営で成功しているオーナーに共通するポイントを3つ紹介します。
特徴1:資金管理能力が高い
成功するオーナーは開業前に必要資金を綿密に見積もり、十分な自己資金や運転資金を確保しています。具体的には、開業資金だけでなく開業後半年~1年分の生活費も計画に組み込み、売上不振時にも耐えられる体制を整えています。開業前に自己資金だけでなく運転資金まで用意しておくことで、開業直後の収入不安定な時期を乗り切れる余裕が生まれます。日本政策金融公庫の調査が示すように平均的な開業費用は約1,000万円近くかかりますが、成功オーナーはこの現実を踏まえて支出を抑えつつ無理のない返済計画と十分な運転資金を用意しています。
特徴2:コミュニケーション能力が高い
従業員や顧客、そして本部とのコミュニケーション能力に長けていることも成功の鍵です。成功オーナーはスタッフを大切に指導し、定着率を高めて安定したサービス品質を維持することでリピーター(常連客)を増やします。逆にコミュニケーション不足だと従業員の不満や離職、顧客離れに直結します。また、本部からの指導やアドバイスを積極的に受け入れ、分からない点はすぐ質問して改善に活かす素直さも持っています。学習塾フランチャイズのヒーローズの調査でも、成功オーナーは本部との信頼関係を築き、必要に応じて助言を活用していると指摘されています。このように人との関係構築が上手なオーナーほど、従業員の士気を高め顧客満足度を向上させ、結果的に事業を軌道に乗せています。
特徴3:経営知識が豊富で学習意欲が高い
成功オーナーは業界や経営に関する知識を積極的に身につけようとします。フランチャイズ本部が提供するノウハウだけに頼らず、外部のセミナーや書籍なども活用して経営を学び続ける姿勢を持っています。そうして得た新しい知識や情報を自店の運営に柔軟に取り入れ、予期せぬ事態にも冷静に対応します。また日々の業務改善や利益率向上にも常に工夫を凝らしています。逆に知識不足のままだと、コスト管理や商品開発などで行き詰まりやすくなるため、経営手法を深く理解し続けることが重要です。
まとめ
「フランチャイズオーナーは儲からない」というのは一部の悲観的な意見に過ぎません。確かにフランチャイズ開業には多額の資金投入と綿密なリスク管理が求められ、契約上の負担が重いケースもあります。
しかし一般にフランチャイズの事業生存率は高い水準にあるとされ、成功すれば会社員時代以上の収入を得ることも十分可能です。大切なのは、加盟先選びで本部の信頼性やサポート体制を慎重に見極め、本部に過度に依存せず自ら経営を学び実行することです。
失敗しやすいオーナーの特徴(主体性不足・準備不足など)を避け、成功オーナーの特徴(資金管理力・高いコミュニケーション力・学習意欲)を身につけることで、フランチャイズ経営の成功確率を大きく高められるでしょう。
参考資料:
-
日本フランチャイズチェーン協会「加盟店で成功するためには」jfa-fc.or.jpjfa-fc.or.jp
-
ダイキチカバーオール公式コラム「清掃業で独立した場合の年収は?」coverall.jp
-
日本政策金融公庫『2024年度新規開業実態調査』saisoncard.co.jp
-
フランチャイズの窓口「フランチャイズで失敗する8つの原因」fc-mado.com
-
ヒーローズホールディングス公式コラム「フランチャイズ独立の成功率は本当に高いのか?」heros-hd.co.jpheros-hd.co.jpheros-hd.co.jpheros-hd.co.jp
-
アントレ STYLE MAGAZINE「フランチャイズの失敗事例22選」entrenet.jpentrenet.jpentrenet.jpentrenet.jpentrenet.jpentrenet.jp
-
アントレ STYLE MAGAZINE「契約で失敗しないためのポイント」entrenet.jp
-
M&Aキャピタルパートナーズ「企業生存率とは?」ma-cp.com